言語聴覚学と大学教育
真摯かつ旺盛に! 日々ひたむきに!
<相対性理論とバイオリン>
アインシュタインはバイオリンの演奏が趣味であったそうです。彼は物理学の難問にぶつかった時に、バイオリンの演奏で心を落ち着かせたそうです。
さらに彼は、有名な相対性理論は「直感的にひらめいたもの」と述べ、またその「直感をもたらしたものは音楽であった」とも述べているそうです。
物理学とバイオリンの演奏とは一見、何の関係もないようにみえます。しかし、アインシュタインは見た目だけでそれらを無関係と判断するのは早計、短絡、思慮不足、浅はかと教えているのかもしれません。
この様にある領域が発展していく場合に、その領域とは無関係に見える領域が大きく貢献する場合があることは科学の歴史が、また誰もが認めている事実です。
無関係なものをヒトの脳は結びつけ、相互に補い合い、発展させる(相互補完)という不思議な力を持っているようです。
またこの事は正しく言語聴覚学を学んだ人なら誰でもわかるはずです。
< 専門科学と基礎科学 相互補完 >
大学の教育では専門科学を履修する前に「全学共通科目」という科目があり、
自然科学(理科、物理、生物など)、]
社会科学(法律、経済、政治など)、
人文科学(心理、倫理、歴史など)を基礎科学として履修し、各領域の相互補完性(互いに補い合う関係)を学ぶのです。基礎ー専門の両者は、うわべに捕らわれている限りは関連はなさそうに見えてしまいます。しかし専門科学の前提として基礎科学を重視する制度、両者の相互補完性(補い合い発展させる関係)を学ぶ制度は全ての大学に共通し、全世界の人々が共通して支持している制度です。 両者は互いに深く関連しているのです。
なおこれら基礎科学は一般的な教養とは全く違います。大学で、一般的に教養を履修することはあり得ません。 大学では基礎と専門の相互補完性を履修するのです。 言語聴覚学を真に学んでいない人の中にと基礎科学のことを一般教養と呼ぶ人がいます。それは明らかに誤っています。
ただ基礎科学~専門領域というと難しそうですが、それはありません。
それは誰でもいつでもどこででも、必要に応じて学ぶことができます。もちろん小学校の学習に端を発し、中学・高校の学習も立派な基礎科学です。独自に書物を読むことも立派な基礎・専門科学です。科学とは筋道を立てた物事の考え方と思えば良く、誰もが気づかないうちに普通にしていることがほとんどです。
<数ランク上の言語聴覚学を指向>
上の方で述べたようにものごとを見た目だけで表面的に判断し、あり得ないことをあたかもあるかのように思いこんだり、それを吹聴することは、特に真の、数ランク上の言語聴覚障害学を指向している限りはあり得ません。
そのことは言語聴覚療法の真(まこと)を理解している人なら誰にでも分かるはずです。逆に言語聴覚学への理解が浅く薄っぺらい限りは、そうはいかないでしょう。
また、そのことを正しく理解し、判断するためにも基礎ー専門科学という組み合わせ、科学的な思考形態は是非とも必要なのです。つまりここ、本学科では数ランク上の言語聴覚学を目指しているのです。
この基礎ー専門科学の関係は冒頭で述べたアインシュタインの例に似ています。様々な異なる分野の科学的な思考法や相互補完性を学ぶ基礎科学は、言語聴覚療法において、より真実に迫る検査・訓練法を選択し、またそれらを開発・実証・発展させていく上では、様々な方面からの知識を集約・判断し、結論を出すという意味で不可欠です。また私自身もそれら基礎科学の助けを借りて、患者さん方への援助法を様々に考え、常に総合的に判断・選択をしてきました。
そのようにして、私が経験してきた言語聴覚療法では見た目や外観だけで軽々に判断してはならないと思われる事例や知見が多数見つかり、今更ながら基礎ー専門科学的思考法の重要さを実感しているところです。
また、それだけでなく基礎科学で、多方面に広く理解が進めば、患者の皆さんとのちょっとした会話の中で、信頼関係を作ることもできます。
このような全学共通科目(基礎科学)は、それを履修した人たちはおびただしい数の方々がおられます。しかし、それらが「今の自分には生かせていない・・・。悔やまれる」という人にはこれまで出会ったことはありません。ぜひとも高校の先生がたにもその点を尋ねてみてください。もちろん、それらに価値を見いだし、これから学びたいと思っている人、今現在学んでいる人、かつて学び現在に生かしている人には数多く出会ってきています。
人間が学ぶことの意味は軽視できません。ましてや学校では・・・。
私は上記の基礎-専門を含めて色々なものをフルに活用し、自己発展していく姿勢を持つことが言語聴覚士としてだけでなく人生において最も大切であり、それがヒトとしての、社会人としての理想像だと考えます。
このいつでもどこでも誰でも「自己発展」することが大切という考え方も、私がこれまで基礎科学と専門領域を幅広く学ぶ中で見つけたことです。
人間が学ぶことの重大さは軽んずることはできません。特に学校では・・。
大学教育とは以上を集大成したモデルにすぎません。
ただし、今日の社会のほとんどが、もちろん「医療」やこの言語聴覚療法学そのものも、全世界的にこの基礎科学~専門科学という制度によって生み出され、発展し、さらに発展させつつあるものです。
この制度こそが真に職業、職場、地域、社会に直結・貢献することを目標に、また事実として直結・貢献しており、かつ私たちの生活を豊かにしていることは明らかです。
人間が深く学ぶことの重大さは絶対に軽んじてはなりません。
このように基礎科学から専門領域の研究にまで幅広く目を向け、自ら求めていき、日々の判断に生かすという姿勢を持つことはとても大切なことです。
それは優れた着想で患者の皆さんへと、仕事へと向かうことを可能にします。
同時に、別ページで述べているように大学教育だけでなく様々な教育は真実の前の平等と謙虚さを悟り、また患者さん方にはもちろん職業、職場、地域、社会に直接貢献することを目的に存在するものです。
私は以上のように、どの様な場で学んだかに関わらず、真実の前に謙虚になり真摯に、かつ旺盛に自分を高めていき、言語聴覚にも日々の生活にも生かすことこそが重要と考え、またそれこそが真のプロフェッショナル、真のスペシャリスト、数ランク上の言語聴覚士であると考えます。
あなたもそう思いませんか。
是非、今からともに学び、
真の、数ランク上のプロフェッショナルになろう!
真実を見抜く力を身につけよう!